出会い

2013年02月12日

東京の見本市に出展するのは 地方の零細企業にとってはかなりの負担。
それでも 新製品のリサーチならココで・・と思った。
ただの通行人じゃない。目的を持って、時間をつくり、運賃を払って足を運んで
下さった方達なので 目が違う。
足早に通り過ぎる間も周囲のブースをチェックしている。関心がある商品の前で
ピタッと足を止め見る、聴く、触る。なんと慌しい人達か。


2010年には海外企業の出展も多かったので ブースへ立ち寄る外国人も多かった
国際見本市だから 当然外国人も多いハズだが まさか わが社のブースに来て
質問をされようとは・・・今思えば 予測してない事がおかしい・・と思うが
あの時は そんな状況を誰も想定していなかった。


そのため 多くの外国人の方からは 何を質問されたのかさえ判らなかったが
ただ 障子に関心がある事だけは感じとれた。

足を止めた人達は一様に 障子らしくない障子に愕き 関心を示された。
折れ戸タイプとブラインドタイプを比較し、圧倒的にブラインドタイプを支持。

業界では高名な方が 「特許は?・・出願はしてるかね?・・これはヒットするかも・・」
とスタッフにアドバイスをされたとか。
また 動きの悪い装置を見た某メーカーの方が「この装置によく似たモノを見たことが
あるよ・・その人に相談したらうまくいくんじゃないかな・・・良かったらご紹介しますよ」と 
大阪の某メーカーさんを紹介して頂いた。




障子の減少は イコール 和紙の需要減少。見本市の会場には 複数の和紙メーカーさんが 
情報収集に余念がありません。 弊社の障子を見て 自社開発の丈夫な和紙を提供するから 
ぜひ使ってみて欲しいと 後日送って下さったところもありました。

この時出会った京都の和紙問屋 株式会社 加徳 の社長ご夫妻には その後
製品の開発や販売に 大変お世話になっております。
和紙を使った新製品開発に積極的な奥様は 株式会社 和紙来歩という会社の社長で 
来る4月には イタリアのミラノサローネでの展示会に出品されるとの事です。
すごいバイタリティに溢れた方で、 見てると 頑張らなくては・・・という気にさせる方です(笑)


2010年10月の大都市で開催されるイベントの集客力、情報発信力は私達の想像をはるかに超え
素晴らしい出会いをもたらしてくれました。


ものづくり中小企業製品開発支援事業は12月で終了。
 
仮称・スライド障子『シュート』は 未だ完成していません。
ブラインドのように ぶら下げただけ ではなく 上下を固定し、
納まりも動作も 障子らしい完成度の高い製品を目指したいのです。
納まりを妥協すれば 動きはスムーズになりますが・・・妥協したくない
いや できないのが職人です。たとえ 開発に時間がかかっても 中途半端なモノで
自分を納得させることがでくないのです。


少し 頭を冷やすことにしました。そして ほぼ完成していた折り畳み式の仮称・オレリーを
完成させて販売を開始することにしました。

折り畳み式のタイプは オリジナルの接合金物を製作すれば完成するだけになっていました。
アンケートで「障子ならカーテンのように角度がついているより フラットになって欲しい・・」
という声が多かったので その点だけは何とか解消できるように検討を重ねました。


ようやく解決策が見つかったのは 見本市から半年後でした。

製品の名前も新たに検討、二転三転しましたが
木を折る=織る・・・というイメージで「きおり」
少しカッコつけて ローマ字で「KIORI」という名前にしました。


出会い



この新製品開発を通して たくさんの方に出会い、アドバイスを頂きました。
私は 職人として 新しいタイプの障子の完成度を高め もう一度 日本伝統の 
障子の良さを 世界の人に認知して頂けるように頑張りたいと考えております。
それが私に課せられた「任務」と感じます。


受身の仕事で価格競争をするしかない現状から 
一歩踏み出すために始めた製品開発・・・・でしたが 
ライフワークになりそうです





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Posted by 樹の精 at 22:57 | Comments(0) | KIORI開発物語
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